土師一流催馬楽神楽 ~関東最古の大社・鷲宮神社~

2月14日と言えば世間ではバレンタインデーなのかも知れませんが、
埼玉の鷲宮神社では、土師一流催馬楽神楽の奉納を含む年越祭が毎年行われています。

鷲宮神社国の重要無形民俗文化財にも指定されているこの神楽は、以前紹介した江戸里神楽の源流とも言われ、関東の神楽には大きな影響を与えたようです。

一時は神楽師の減少から消滅の危機に瀕していた催馬楽神楽ですが、最後に残った白石国蔵氏と復興会の尽力により、現在は若い世代にもその芸能が受け継がれています。


基本的な演目は下の12座
  1. 天照国照太祝詞神詠之段 (あまてるくにてるふとのりとしんえいのまい)
  2. 天心一貫本末神楽歌催馬楽之段(てんしんいっかんもとすえかぐらうたさいばらのまい)
  3. 浦安四方之国固之段(うらやすよものくにかためのまい)
  4. 降臨御先猿田彦鈿女之段(こうりんみさきさるたひこうずめのまい)
  5. 磐戸照開諸神大喜之段(いわとしょうかいしょじんだいきのまい)
  6. 八洲起源浮橋事之段(やしまきげんうきはしわざのまい)
  7. 大道神宝三種神器事之段(だいどうじんほうさんじゅじんぎわざのまい)
  8. 祓除清浄杓大麻之段(ばつじょうしょうじょうおおぬさのまい)
  9. 五穀最上国家経営之段(ごこくさいじょうこっかけいえいのまい)
  10. 翁三神舞楽之段(おきなさんじんぶがくのまい)
  11. 鎮悪神発弓靱負之段(ちんあくじんはっきゅううつぼのまい)
  12. 天神地祇感応納受之段(てんじんちぎかんのうのうじゅのまい)
うん、めっちゃくちゃ名前長いっすね。
でもよーく漢字を読むと分るように、古事記や日本書紀といった日本神話を元にした演目がほとんど。
お正月には全演目披露されるようですが、今回は一部のみの奉納でした。

それでは伊邪那岐命と伊邪那美命で有名な国生みの一節、
八洲起源浮橋事之段(やしまきげんうきはしわざのまい)をどうぞ。



最近古事記にハマって読みまくっていたので、
もうイザナギの命がしゃべるだけでも大感激!

ただ神話では木の周りを回ったとあるのになぜこの神楽では橋なのか?
神主さんが質問を受け付けると仰ったので聞いてみると、

「昔の人が考えたんでしょうね。」

そうすね、、橋の方が見栄えがいいすもんね。
さて、こちらは後半部分。



このリズムと節は他の演目でも使われていて、
大太鼓がドド!ってくるとおぉぉ~またきた~!
ってな感じでその度に心躍らされました。
ここのフレーズは応用次第で特徴的なビートになりそうな予感。

また、終わる時や節目で太鼓をドンと1回しか打たないのも印象的でした。
日本音楽の大きな特徴だと認識していた2回打ちですが、
案外その歴史は浅いのかもしれませんね。

変わって12座の合間に披露される端神楽(はかぐら)。



巫女さんを演じる女の子は堂々たるものですが、中学生になると引退しなくてはならないとのこと。
少し残念な気もしますが、文字通りさまにしんでいただくという観点から考えると、
永遠である神に奉納する芸能を永遠でない一人の人間が独占してしまうシステムよりもずっと理に適っているように思います。

催馬楽神楽はあくまで神事なのですね。

芸能的な側面が強い江戸里神楽と比べ、共通点よりもむしろ相違点のほうが多い印象でしたが、
それだけにまた見に来たいなと思わせる神楽でした。

鷲宮らき☆すた最後についでと言ってはなんですが、この鷲宮神社はアニメオタクの聖地でもあるようです。

人気アニメ「らき☆すた」の舞台になった事がきっかけで鷲宮神社にはアニオタが詰め掛けるようになり、*今年の初詣では正月三が日での参拝客が12万人も増えるという異様な盛り上がりをみせているとのこと。
*MSN産経ニュースより

昼食を取ったお店では箸入れを始め、メニューのいたるところに「らき☆すた」のキャラが。
本格的な専門店もありましたし、新たな名物として定着しつつあるのかもしれません。


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